34話 マンティスロード:Mantis lord

 ・・・バーニングフォームのかませカマキリ(^-^;;;)

 mantis:カマキリ

・プロフェタ・クルエントゥス:Propheta cruentus
 
 プロフェタ:propheta 予言者.
 クルエントゥス:cruentus 1.血だらけの,血に染まった. 2.血に飢えた,残忍な. 3.血のように赤い.
 「血に飢えた予言者」といったところでしょう。

 カマキリと予言者、何の関係もないように思われます。ただ、カマキリにちょっかいをかけた経験のある方ならご存じの通り、彼(女)らは威嚇や餌となる虫にねらいをつける際に、鎌状の前肢を体の前方にそろえて構えます。そのポーズから日本では、拝み虫、祈り虫の名で呼ぶ地方もあるとのことです。洋の東西を問わず、人間の考えることには似通った部分が多々みられるので、外国にもそんなカマキリの別名があるかも知れません。敬虔な祈りとともに生け贄の血を捧げる狂信的な予言者・・・なかなかのネーミングではないでしょうか。

 ・・・と、ここまで書いて「ファーブル昆虫記」を読んだら、フランスでも、おがみかまきり(和名ウスバカマキリ:Mantis religiosa)が おがみ虫 lou Pregs-Dieu(仏)すなわち 神に祈る虫 と呼ばれていました。この虫を神託を告げる巫女、神秘的な法悦三昧に至る修道尼としているとのことです。古代ギリシャ人はカマキリを、Μαντισ=ギリシャ文字のMantis(ギリシャ文字なので、そのまま英語に当てはめるとMantisになります) 占者、予言者と呼びました。これはそのものずばりですね。 更に英和辞典(ANCHOR)でmantisを引くと”praying mantisともいう”との記述があります。人間の考えることはやっぱり同じみたいですね。

 実際のカマキリは秋の野原の優秀なハンターです。彼らの補食の様子を見ると、つくづく「こいつらがこのサイズで良かった・・・」と思います。捕まえるときは背中側から前肢の付け根をつまみましょうね。

 図鑑の写真などで、交尾の際に雌に食われる雄の写真を見ることがありますが、幼少時、実際に見た際にはなかなか衝撃的なものがありました。
 ・・・イナゴ取りの最中に、田んぼの端っこで交尾中のカマキリを発見したstone少年、何となく邪魔しては悪いような気がして(^-^;)そのままにしてイナゴ取りを続けます。・・・小1時間後、先ほどの場所に戻ってみると、彼らはそのままのポーズなのですが何かおかしい。上に乗っかっている方(雄)の頭が食われて無くなっていたのでした・・・。
 雄は雌の産卵の栄養になるので全く無駄がないのですが、頭から食われながらも雄の胴体は生き続け、交尾を完了させるとのことです。種族保存への執念、畏るべし。

 なお、ファーブルの観察によると、1匹のカマキリの雌の入った飼育箱に雄を1匹ずつ放したところ、立て続けに7匹とも交尾後雌に食われたそうです。カマキリ夫人、恐るべし。

 まあ、全ての雄が雌に食われるわけではなくて、交尾だけ済ませて上手く逃げおおせる雄も多いとのことですが。

 関連した生物の学名は
 ・オオカマキリ:Tenodera sinensis  ・ハラビロカマキリ:Hierodura patellifera


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